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第1回 H13.8.25

第2回 H13.9.29

第3回 H13.10.27

第4回 H13.12.1


講師:小玉祐一郎

講師プロフィール:

神戸芸術工科大学教授。建築家。自然のエネルギーを建築的に活用したパッシブデザインの研究開発と実践、自然環境の保全と利用を意図した住宅地計画、エコロジカルな都市システムなどのプロジェクト研究に従事。パッシブ建築研究の第一人者。

著作:

●住まいの中の自然 丸善 2300円

エコロジー住宅を学ぶ、始めの一冊としておすすめです。豊富な写真とわかりやすい文章でエコロジー住宅の楽しさが伝わります。

●自然エネルギー利用のためのパッシブ建築設計手法辞典 彰国社編 2800円

エコロジー住宅の技術を手法ごとに整理しています。専門家・学生などより詳しく勉強したい人向けです。

●エコ・ハウジングの勧め 丸善 1800円 他多数


第一回では、エコロジー住宅とはどんな住宅なのか,全体像を豊富なデータを基にお話しました。地球環境の視点からみた私たちの住まいのあり方を考えました。次に、実際に私たちが取り組むことのできるエコロジー住宅の実現手法と、その魅力について、市民学校の今後の講義内容を紹介を交え、お話しました。


私が市民学校に参加させていただいた理由の一つとして、経堂の杜を拝見したという事が挙げられます。初めて経堂の杜に伺ったのは五月でした。その頃は緑のカーテンもまだ植えたばかりであったり、つたを張らせるためのロープもこれからという状態でした。しかし六月が過ぎ七月も後半になると見事に緑のカーテンができていて驚いたのを覚えています。
 今回は第一回ということで、エコロジー住宅入門とでエコロジー住宅というもの固くずに話を聞くことができました。
 エコロジー住宅とは以前の日本では当たり前であった生活を現代に取り入れる事だと思います。北からの風を取り入れる、縁側のような場所を設け熱を遮るなど昔の日本の住宅に当たり前にあった環境が今の住宅には確保されず、特に画一化されたマンションや建売住宅ではその環境の確保が難しいと思います。昔の生活環境をそのまま取り入れる事は、難しいかもしれませんが、今の時代にあった形で取り入れる事はできるでしょう。
 スライドでヨーロッパ住宅街と日本の住宅街を高いところから比べる部分がありましたが、ヨーロッパの方は家と家の間が緑で覆われていましたが、日本の住宅街は敷地も家も同じ広さのものがきれいに並べられてはいて、目に入るのは屋根ばかりです。
日本のそれぞれの住宅には、飾り程度の緑しかないのです。参加している皆さんは,「どちらがいいか」と聞かれたときには、答えるまでもなく苦笑いをしていました。この市民学校に参加されている皆様は、問題意識をもっていたり、自然を感じられる生活を望んでいる人が多数であると思うので、緑のあるほうがいいと感じたのでしょいうが、日本の特に若い人の中にはそう感じない人もいると思います。
 全て人が興味を持つという事はなかなか難しいことですが、興味があったり、問題意識のある人が積極的に取り組んでいくことができればよいと思います。環境問題というのは、とても大きな問題であるようですが、個々の小さな問題でもあると思います。少しの工夫で夏の熱を遮ることもできるし、冬に日中の熱を蓄える事もできるのです。
 エコロジー住宅初心者としてこれから七回を通して少しでも多く知識を付け、家族に教えたり自ら実践できる事があればよいと思っています。

日本大学生物資源科学部生物環境工学科四年 赤堀 有希子


・第1回の総論的な内容としてわかりやすかった。今後具体的な内容に展開していくことで、更に理解が深まると思った。


・概念的にエコロジーについて説明していただき、考え方を整理するのに役立った。建物の長寿命化、耐久化を再認識した。


・五感で感じる生活に興味がある。アクティブな生活のためのパッシブなデザインを具体的に知りたくなった。本を読んでみます。


・「身体性」「パッシブな家でアクティブに生活する」などのキーワードが、グサッときました。


・フライブルグ市のように、林の中に家があるような街にできないものだろうか。コーポラティブ住宅もひとつの案であると思うが、戸建の場合でも、せめてミニ開発は禁止するとかできないだろうか。ひとつの建物内だけに解決口を求めずに、地域全体として、エコになるようにという甲斐氏の話には非常に共感します。


・安全で安心。心地よい住まい。同じ考えを持った方々と良い形で協力し合えたらと思っています。


●新建築住宅特集

小玉先生設計の「水戸八幡の家」の写真が掲載されています。 

http://www.japan-architect.co.jp/japanese/

2maga/jt/jt2000/jt06/works/jt087f.html

●神戸芸術工科大学 

小玉先生が教鞭をとっている神戸芸術工科大学のホームページです。

http://www.kobe-du.ac.jp/a_top/a00_00.html

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講師:正木覚

講師プロフィール:

エービーデザイン椛纒\取締役。環境デザイナー。個人の小さな庭、外構を主に、街路、河川、地域に至るまで、植物を中心テーマにした環境デザインを提案している。「経堂の杜」の外構デザインを担当。

著作:

●正木覚のここちよい庭づくり 講談社 2600円

正木さんが手掛けた庭の写真がたくさん掲載されています。

●樹木で演出するミニ・ガーデンプラン 心やすらぐ庭づくり110例 講談社+α新書 880円

庭の効用、とくに樹木のもつ機能を活かしたガーデンプランがたくさん紹介されています。

●建築知識1996.3 「効く植栽」91のテクニック 1600円

正木さんを市民学校の講師にお招きするきっかけとなった本です。植栽を樹木の持つ機能の面からわかりやすく紐解いた本です。


樹木は、住宅の周辺環境を快適にしてくれる働きがあります。緑は、夏の日差しを和らげ、気温を調整し、空気を浄化してくれます。さらに、緑を介して豊かな人間関係も生まれます。この回では、こうした緑の効用をフルに活かしたガーデニングについて勉強しました。


1、野球場に庭ができるまで(エービーデザイン 鈴木さん)

 「東京ガーデンショー」におけるエービーデザインの活動内容と、そこから考えられる庭の効用についての話であった。「東京ガーデンショー」は野球場という何もないところに庭を作り出すイベントであり、期間は1ヶ月であった。1ヶ月間という短期間であったが、イベント中のスライドは、野球場とは思えない、昔から庭だったのではないかと思われるくらい自然な感じがした。
「心の中の鎌倉」というコンセプト通り、ホッとする癒しが感じられた。竹林や流れる水、さりげない草花で構成されており、素晴らしい風景であった。庭とは自然の厳しさを緩和する緩衝材であることを痛感させられた。

2、きもちのよいデザインとは何か?(エービーデザイン 正木さん)
 「家が先か?庭が先か?」という話しから、今まで、室内環境のみをコントロールすることが重要視されてきたことを考えさせられた。しかし、建物内部と外部は離して考えられるものではなく、建物周辺の環境を整えそれを建物内部にうまく取り込むことが大切なのであるということを思い知った。
 そのためには、建物外部に緑を配置したり、水を利用することで、微気象を作り出すことが大切である。微気象とは木などによってできる空気の流れであり、空気が流れることが気持ちのいい住まいにつながるのである。この微気象を利用した住まいは、現在に始まったものではなく、京都の町屋がいい例である。座敷の両端に大小の庭を配置し、空気の流れをつくりだし、それを住まいの内部環境へ取り込んだ。つまり、この住まい方はけっして新しいものではなく、伝統的な環境住宅なのだと思った。
 また、緑は環境面だけでなく、心理的なまちづくりにも大きな影響を与えることを学んだ。自己完結で終わるのではなく、つながっていくことで魅力のあるまちを形成することが可能になるということに深く共感した。

日本女子大学 岡崎愛子



・一本の木の周囲に気象に変化がおこり、豊かな空間ができる。その組み合わせが環境をつくる・・・。庭は、その人の生き方であり、一軒一軒の家が外に向かって環境を改善していくことによって豊かなコミュニティがつくられる。今、学校に来ている子供は、それぞれ独立の家庭環境から集まる。その折り合いをつくる「学級会」の役割が増している。現在の教育問題の原点も、この環境にあるようである。

・正木先生の感性、創造性の豊かさはすばらしいものだと実感した。風通しの大切さは植物だけではなく、人間関係の適度な空間を持ち、風通しをよくする大切さもある。日照条件の悪い庭のスライドなども見せていただけたらよかったです。


・「細かい葉のそよぎを感じる」生活の楽しさ、ここちよさと、科学的な話が一致していることに、なるほどと思いました。建築と庭というと、屋上にしても、前庭にしても「残り」の空間であるようなところがあります。庭(緑地)と建物が一体となったような建て方をしたいと思いました。計画の最初から、建築と造園が一緒に協働したいと思います。


・建物の内と街路との関わり方を調整するものとして、植栽や構築物を一体として考える手法にたいへん共感致しました。居心地の創造とは、関わり方を調整することなんだという思いを強くすることができました。


●第1回東京ガーデニングショーレポート

正木さんがテーマガーデンのデザインを担当された第1回東京ガーデニングショーのレポートです。

http://www.maplepress.co.jp/garden/TGS00_report.htm

●NHK-BS『 私のガーデニング』

正木さんが講師を担当されているNHK-BS『 私のガーデニング』の番組案内です。 

http://www.nhk.or.jp/garden/index09.html

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講師:須永修通

講師プロフィール:

東京都立大学大学院 工学研究科 建築学専攻 助教授。研究分野は建築環境学。著書に「パッシブ設計手法事典」(彰国社、共著)、「環境工学教科書」(彰国社、共著)等がある。


自然の恵みをうまく住宅に取り込み、夏は夜の涼しい風を、冬は太陽の温もりを活用して、機械に頼らない快適さを五感で感じることのできるパッシブデザインの手法を学びました。さらに、受講生の自宅を題材にして、「Solar Designer」によるシミュレーションを行うことで、パッシブデザインの効果を確かめました。


市民学校第3回の今回は「自然の恵みを五感で感じる住まいのつくり方」をテーマにパッシブデザインについてのお話を伺いましたが、そこから私は幼いころに読んだ「北風と太陽」という物語を思い起こしました。これは、「北風」と「太陽」が旅人の着ている上着をどちらが先に脱がせることができるか腕くらべをする、というお話で、「北風」が自分の風で旅人の上着を吹き飛ばそうとするのに対し、「太陽」は優しく陽射しを注ぎます。「北風」がいくら強い風を起こしても上着は脱がせられなかったのに、「太陽」の陽射しで陽気が暖かくなると、旅人は自ら上着を脱いでしまいます。つまり、旅人を私たちが住んでいる家だと見立てると、「北風」は冷暖房機器のような気候に逆らって環境を制御するアクティブシステム、「太陽」は気候をうまく利用して自然の流れに沿って快適な環境をつくるパッシブデザインだと言えるのではないでしょうか。

夏は、日射遮蔽をしたり、夜間外気を蓄冷したり、できるだけ熱を遮断し、利用できる冷気をつくる工夫をする(クーリング)。逆に冬には、できるだけ昼間の陽射しを取り込んで、蓄熱材など、貯めた太陽熱が逃げにくいように工夫する(ヒーティング)。システムというと難しそうな気がしますが、基本は暑いときには涼しくする工夫を、寒いときには暖かくする工夫をするというごくあたり前の法則に基づいていて、それをさらに自然の摂理を利用した柔軟で賢い方法で快適な住まいをつくっていくことがパッシブデザインなのであり、私たちが忘れていた本来あるべき住まい方なのだと感じました。機械装置に頼って、無理矢理に環境を制御していた私たちに「押して駄目なら引いてみる」という「太陽」の発想をパッシブデザインは示してくれているのだと思います。そして、自然の力をうまく利用するためにはその土地の気候風土を知り、建物の性能を理解した上で、環境をデザインする仕組みを生かした住まい方をしていくことが必要で、これは環境と共に生きていく私たちの役目だといえます。また、この役目は仕組みもわからずに機械をただ置くだけの住まいよりも、季節を感じながら自分の知恵や工夫を生かせるという点で、より生活を楽しませてくれるでしょう。

日本女子大学大学院家政学研究科住居学専攻
修士課程1年 根橋由里子



・建物の外環境を考えることの大切さを改めて感じる。住環境を整えるために考えるべき事柄にはどんなものがあるのか少し分かった気がした。

・測定結果が住まい方に反映されている話の実例が興味深かった。

・パッシブデザインと漠然と考えていたものを、パッシブクーリング、ヒーティングを分けていくことで、より深く理解できました。

・グラフによる比較や実例写真を交えた解説に説得力があった。


●建築設計資料集成

日本建築学会(編)の資料集成です。パッシブデザインの項目を当日の資料に使用しました。

http://pub.maruzen.co.jp/book_

magazine/kenchiku/kenchiku.html

●株式会社クアトロ

講義に使用した「Solar Designer」を開発・販売しています。

http://qcd.co.jp/sd/index.htm

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講師:高橋 元

(有)ひと・環境計画代表。建築家。

ドイツの消費者向け書籍「エコテスト」を翻訳し、「エコロジー建築」として出版。人と環境を考えたエコロジカルな建築の設計活動を続ける傍ら、執筆活動も精力的に行っている。

著作

●エコロジー建築 

「エコテスト・マガジン」編 高橋元 訳 青土社 2200円

●健康な住まいを手に入れる本

小若順一・高橋元 コモンズ 2100円

●健康な住まいへの道 バウビオロギーとバウエコロジー

ホルガー・ケーニッヒ著 石川恒夫 訳 高橋元 監修

建築資料研究社 4800円+税


塗料や新建材に含まれる化学物質による室内環境汚染が健康に及ぼす影響が話題になっています。講義だけでなく、実際に建材に触れることで、健康に配慮した住まいとは何かを学びました。


今回のテーマは「健康に配慮した住まいのつくり方」というものでした。シックハウス症候群・化学物質過敏症などを中心に講義がされました。
 少し前からホルムアルデヒドによる人体への影響などがクローズアップされるようになり、テレビ等でも目にするようになりましたが、詳しく話を聞くのは今回が初めてでした。胎児や幼児、子供は自覚症状を訴える事ができずに問題が明らかになりにくいという事でしたが、これらの問題は目に見える症状ではなく体で感じるものであるため、大人であってもそれが住宅からくる症状であると気づかないで過ごしている人も多いかと思います。
 現在の日本には至るところに有害な化学物質が蔓延していて、それから逃れられる場所は日本においては北海道の山奥、もしくは離島しかないそうです。これはもう戻す事ができない事実で、この環境の中でどう暮らしていくかが問題でしょう。健康的な住まいに近づけるひとつの身近な手段として換気があります。これは換気扇ではなく窓開け換気が良いという事でした。また、欧米の人々(ドイツの人は意識的に窓開け換気をする。)に比べて現在の日本人は換気に対する意識が低く、しかし以前の日本においてはそれができていました。このことは北から冷気を取り込んだり、風の通り道をつくったりする環境共生型の住宅と共通する点でもあると思いました。
 後半には実際に建材を見たり塗料のにおいを嗅いだりしました。それらには天然素材が使用されていますが、天然の物でも人によってはうけつけないものもあるそうです。建材の全てを(接着剤等も)有害物質を揮発しない物にする事は、可能かもしれませんが非常に難しい事であり建材の細かい部分の全てにおいて完璧を求めるのは困難でしょう。そこで健康状態に合わせ妥協点を見極める(足りない部分は換気で補う)、という考え方が印象に残りました。そして全て完璧を求めるのではなく適度の妥協をする事で精神的にも負担の少ない住宅づくりができると思いました。

日本大学生物資源科学部四年

赤堀有希子



・有害物質が体に及ぼす多様な症状を初めて知りました。

・建築材料の組成まで知らないと、健康なものか判断できないのでは、どこまで深く追求していけばよいものかと考えた。

・「においをかいでみて試してみる」といことが印象的でした。本当は家を建てる前にいろいろ触れてみること大切なのかもしれないと思いました。


●ひと環境計画ホームページ

高橋元氏が代表を務めるひと環境計画のホームページ。健康に配慮した住まいづくりを目指す住まい手、専門家の方、是非ご覧下さい。

http://www2.odn.ne.jp/hitokankyo/index.html

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