夏には夏の暮らし、冬には冬の暮らし
季節に応じて、自然と共に暮らす「暮らし方」をお伝えします

第9回 改善編その1 「窓と壁の表面温度を上げない」

【改善策その1 窓と壁の表面温度を上げない】



テクニック① 日差しを外で遮る
夏の日差しが窓に直接当たっている場合は、日射を室内に入れない工夫が重要です。そのための日よけは、窓の外に設置することが基本となります。たとえば、図1のように室内側のカーテンなどを閉めて日射を防いだ場合、日射を浴びたカーテンの表面温度は、40℃を超える温度となります。そして、今度は、高温になったカーテンが放射熱の発生源となってしまうのです。
ですから、カーテンよりも、窓の外にスダレをかける方が、数段暑さを防ぐ効果があるのです。

テクニック② 窓の外に日陰領域を大きくつくる
室内側でカーテンを使うより、外側でスダレを使った方が効果的だと指摘しましたが、同じスダレを使っても、その設置の仕方によって、効果が違ってきます。普通、スダレは図2のように窓のすぐ外側に付けるものだと考える人が多いと思いますが、スダレの設置位置は、できるだけ窓から離すようにすると、より効果的です。
夏の日射がスダレに当たると、そのスダレ自体の温度は、38℃くらいになります。たとえば、スダレが窓際にかかっていると、そのスダレ自体が熱源となり、38℃の熱が窓ガラスに向けて放射され、室内へと影響します。そうしたスダレからの放射の影響を防ぐためには、図3のように、できるだけスダレの設置位置を窓際から離すようにした方がいいのです。
また、そこがマンションのベランダである場合、窓際にスダレをかけたのでは、ベランダの床が日射によって熱くなり、そこからの放射が室内に影響してしまいます。こうした影響を防ぐためにも、バルコニー全体を日陰にするようにスダレを設置することが効果的です。

テクニック③ 緑のカーテンをつくる
ゴーヤやヘチマ、アサガオなどの植物を活用した緑のカーテンによって日射を防ぐようにすると、植物の葉は、水の蒸散作用により表面温度を低く保つことができるため、室内への放射の影響が極めて少なくなります。ですので、日射遮蔽は、上の図4のような方法が、最も効果的となります。

テクニック④ 樹木を活かして放射を遮る
窓から外を眺めたときの風景の中に、表面温度が高いものがあると、そこからは高温な放射が窓に到達しているので、対策が必要だということを、第8回で指摘しました。そうした場面での対策で、有効なのは、樹木を活用することです。たとえば、道路のアスファルトが見えていたり、駐車されている車が見えていたりする場合、その表面温度が高い部分を隠すように、樹木を植栽したり、プランターを置いたりします。樹木は、水を含んでいますので、その水分が熱源から放射される熱を遮る役割をするのです。
こうした暑さ対策は、植物を活かして窓先の風景づくりを楽しむことに通じます。夏、高温になってしまうモノは、総じて、風景を阻害するものであったりします。そうした、あまり見たくないものを緑で隠すようにすること、それが、涼しさをつくるガーデニングの極意です。

引き続き次号にて改善策2、3をご紹介します。

イラスト 大竹美由紀



■ 日々是通信@facebook

↑このページのトップへ